長編小説第一集『蒼白』


□最終章 せつな
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第十四章


「アル―晴れ―た日―の事―・・・魔法以上のユカイが―・・・」

今日は気分が割といい

肌寒い風が巻いているマフラーを靡かせる

「限り―無く―降りそ―そぐ・・・不可能じゃないわ―・・・」

懐かしい歌を口ずさみながら私は目的地へと向かう

少しばかり変わった町並み・・・

あの時皆で乗ったバスは、路線変更でもう走っていない

「一月ぶりか〜、皆元気かな〜?」

皆それなりに忙しくなって、毎週あったこの集まりも今では一、二ヶ月に一度位になっている

最近は、夜集まる事も多い

「・・・あし―たま―た会―う時―・・・笑いなが―らハ―ミング・・・」

私は見えてきた喫茶店に向かって小走りする



カランカラン・・・



「いらっしゃいませー、何名様でしょうか?」

「あ、待ち合わせですから」

そう言うと店員さんは会釈してカウンターの奥に引っ込む

「ん〜・・・」

少し広めの店内

私は背伸びして辺りを見渡す



「お!居た居た・・・」



「お〜い、かがみ、つかさ、みゆきさん、お待たせ〜」

「お、こなた〜、やっと来たわね」

「こなちゃん久しぶり〜」

「お久しぶりです、泉さん」

三者三様に挨拶が帰ってくる

私はコートを脱いで席に着こうとする

「皆一月ぶり〜・・・お!つかさ、お腹おっきくなったね〜!?」

「うん、もう今四ヶ月目だからね〜」

一月ぶりに見るつかさのお腹は、外見からも見て取れる程の大きさになっていた

「うんうん、つかさの子なら元気な子だろうね〜」

「そうですね〜、赤ちゃんはお母さんの影響を大きく受けますからね〜」

「えへへ、ありがとう」

そう言ってつかさはお腹を撫でる

つかさの妊娠を聞いたのは二月前

今はお腹が少し出ている様に見える



一月ぶりに集まった私達

私達は皆大人になっていた


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