長編小説第一集『蒼白』
□第八章 衣装
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第八章 衣装
日付は八月に代わって暫く経っていた
こなたが俺に告白してからすでに数週間・・・
この何週間の間にも色々あった
神隠しにあった時に聞いたコミックマーケットという祭りにも行ったし、こなたの気まぐれで秋葉腹に買い物をしにも行った
こなたは俺に告白しても特に変わってはいない ゲームをやって漫画を読んで・・・変わった所といえばかがみ達の前で人目を気にせずにベタベタしてくるようになった事位か・・・
何故かかがみ達はこなたが俺の事を好いていた事を知っていたみたいで、変な事とは思っていないみたいだ・・・
俺はといえば毎日朝早くから家に来るこなたの相手で少し疲れた
が、こなたの幸せそうにしている顔を見ると何となく許せてしまう
友人から恋人と関係が変わったせいなのか?概念が理解出来ない・・・
「れいの生活資金ってどこから出てるの?」
ある暑い夏の朝の事である
こなたが俺の家に朝食を作りに来てくれたので朝からしっかりと目玉焼き等を食べていた時だった
「・・・生活資金?」
「ほら〜こういう食材とか、税金とかさ〜」
「そのような物の金は祖父が俺の生活資金として蓄えて頂いた物を使っている・・・」
祖父は自分の死期が近いと悟った時に俺の銀行口座に何年か生活するのに必要なお金と自分の遺産で、必要な時に使えと言ったお金と合計で一生暮らせるだけのお金をくれた
「じゃあれいって今すごいお金持ちなんじゃ無い?!」
こなたは味噌汁を飲みながら聞く
「・・・遺産はあまり使いたくないからな・・・生活資金も最低限の分しか使ってはいない・・・」
「何で?」
「・・・祖父が苦労して蓄えた物を俺が勝手に使ってしまっては祖父に申し訳が立たん・・・」
「そっか〜れいは真面目だね〜」
こなたは俺の方を見て言う
「でもお小遣いとしていくらかは使ってるんでしょ?ちょっと前もPS2買ったし・・・」
「・・・あまり買う物が無いし・・・小遣いは生活資金に含まれているのでそこから引いている・・・月に二千円あれば十分だ・・・」
「えっ!れいって月二千円しか自分の使いたい分引いてないの?バイトとかしてるの?」
「・・・していない・・・確かに最近二千円じゃきつくなってきた・・・読みたい本も多いし・・・」
俺は最近になって金を使う機会が急に増えた為貯金が一気に消し飛んだ・・・理由は分かるだろう・・・
「それなら月に貰うお小遣い増やせば?」
「・・・いや・・・そういう事はあまり・・・できれば今まで通り月額は変えたくない・・・」
状況が変わった所で好き勝手に金額を変えていたらすぐに破産してしまう・・・没落とはそういう所から起こる物だ・・・
「じゃあせめてバイトでもした方がいいんじゃ無い?」
「・・・・・」
「私も喫茶店でバイトしてるんだよ?」
「ほう・・・意外だな・・・」
「結構自給いいからね〜一年以上同じトコでやってるよ〜」
こなたは懐かしいな〜と言いながら宙を見る
「バイトか・・・」
「れいバイトする?何なら私のバイト先でやってみる?秋葉腹なんだけどさ〜」
「・・・知り合いがいると心強いな・・・こなたがよければバイト位しよう・・・」
「ホント!今日の午後からシフト入ってるからさ、一緒に行こう!」
そう言ってこなたは俺に履歴書を書かせて一旦家に帰った