長編小説第一集『蒼白』


□第七章 繋がり
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第七章 繋がり

「先輩 お塩取ってくれますか?」

「ああ・・・はい小早川さん」

「れい〜この火急いで消して!」

「了解・・・」

「れい!こっちも手伝って!」

「了解・・・お前ら俺が居ないとできないのか?」

俺は達は旅行最後の夕飯を作っていた

食材も少ないのでハンバーグとシチューを作る事になった(こなた発案)

が、最後の日だし皆で作ろうという案が出たので全員協力して作っているのだが・・・

人が多いと目を配らなければいけない事項が増えるため俺はあっちに行ってこっちに行って・・・

正直料理をしていて疲れてきた

「れい!休んでないで!手を動かして!」

俺はハンバーグという物を食べた事が無かったので少し楽しみだ・・・

・・・しかしこんなにグチャグチャに色々混ぜた物が絵で見るようなハンバーグになるのだろうか・・・?

「休むなって言ってるでしょ〜」

そんな事を考えているとこなたの飛び蹴りが飛んできた

痛いのは嫌なのでこなたの体を掴んで阻止する

「体の小さいお前の蹴りは・・・こうすれば簡単に止められる・・・」

「れいー!降ろしてよー・・・」

こなたは恥ずかしそうに俺に言う

小学生みたいな体型だからな・・・カバンのように脇に抱えられる奴だ・・・

この格好は流石に恥ずかしいだろう・・・

「フン・・・これに懲りたら俺に攻撃しようなど考えない事・・・」

「うりゃーっ!」

俺がこなたを降ろしかけた時・・・こなたはその体勢を活かし俺の足を踏みつぶした

「!・・・つ〜・・・」

俺はこなたを放して足を押える

「ハッハッハ〜!れいと私の初戦は私の勝利らしいね!」

こなたは胸を張ってえばる

「アンタのだまし打ち勝ちでしょうが・・・」

かがみは俺達を見てため息を吐く

・・・かがみ・・・お前俺の事馬鹿にしたな?しただろう?

「先輩・・・大丈夫ですか・・・」

岩崎さんが俺の近くまできて心配してくれる

君は優しいね・・・

「ありがとう岩崎さん・・・問題無いよ・・・」

俺は立ち上がって膝の埃を払った

「こなた・・・いつか復讐してやるからな・・・」

「フフーンだ!いつでも来やがれってんだ!」

こなたは偉そうに言い張る

・・・クソ・・・何故か悔しい・・・





「「「「いただきま〜す」」」」

「いただきます・・・」

俺は初めて食べるハンバーグをマジマジと眺めていた

(・・・外見は肉を焼いた感じだが・・・)

とりあえず箸で切ってみる・・・

穴だらけの断面だな・・・

かがみ達がケチャップやソースを付けているという事は・・・味が無いのか?

と思ったら岩崎さんは何もつけて無い・・・どっちだ

「・・・れいどうしたの?」

こなたがハンバーグを解体しかけている俺に聞く

「・・・これは何を付けて食べるものなんだ?」

俺が聞くとみんなキョトンとした顔をする

「・・・アハハ!もしかしてれいってハンバーグ食べたこと無い?」

かがみが笑って聞く

「先輩マジっスか!?」

「無い・・・」

「れいさんは和食を中心に食べていらっしゃいますから・・・」

「でもハンバーグ食べた事無いんだぁ〜美味しいのに〜」

つかさがモグモグしながら言う

「先輩・・・ハンバーグはひき肉ですから穴が開いてしまうんです・・・」

岩崎さんがハンバーグの断面を見つめている俺を見て言う

・・・言われてみればそうだよな・・・

「それにハンバーグは何付けてもおいしいんだよ?」

そう言ってこなたは俺の前に調味料をズラズラ並べる

「基本的にはケチャップだけどソース、マヨネーズ、マスタード付ける人もいるみたいだよ?」

こなたは俺に丁寧に解説をしてくれる

「私のお父さんが好きなのはケチャップとソースをハンバーグ焼いたフライパンで油と絡めるの 温かいうちにかけると美味しいんだよ」

「・・・カロリー高そうだな・・・」

「確かにそうだけど低カロリーの油使ってればなかなか美味しいよ?」

こなたはキッチンに行って俺にそのソースを作ってくれた

「はいどうぞ」

・・・色は普通だ・・・

香りもケチャップにソースを混ぜたような匂いがする・・・

俺は細かく切ったハンバーグをソースに付けて食べてみる

「・・・旨い・・・」

これは旨い・・・

肉料理なのに硬い感じは無くポロポロと崩れるこの食感じも嫌いじゃ無い

それにこのソース・・・油が絡まってこれがまた旨い・・・

「これは旨い料理だな・・・」

俺は細かく切ったハンバーグを少しずつ食べた・・・





「いやーれいのお陰で楽しい旅行だったよ〜」

夕飯を食べ終わった俺達は何とか帰って来れた黒井先生達を出迎えそれぞれの部屋に戻っていた

俺はこなた達に拉致されてこなた達の部屋にいる

「本当に・・・楽しい一週間でした」

みゆきさんが笑顔で言う

「でもまだ一週間しか夏休み経って無いのよね〜」

「「すごいね〜私も今回は宿題が凄くはかどったし〜」」

つかさとこなたが言う

「こなたはれいの写してただけでしょうが!」

かがみのもっともな突っ込み

「やふ〜れいのお陰でほとんど終わちゃったよ〜」

こなたは俺の足にすがりついてくる

「やめろ・・・気持ち悪い・・・」

「そう言わずに〜♪」

そう言ってこなたは俺の足に頬ずりする

ゾク・・・

俺は身震いしてこなたを離す

「俺はもう行くぞ・・・」

もう十二時だ・・・

小早川さん達も寝ただろうし・・・俺も寝るか・・・

「れい〜ここで寝ようよ〜」

「・・・は?」

突然のこなたの発言に俺は停止した

「お前何言って・・・」

「別にいいでしょ?みゆきさん?」

こなたは俺を無視してみゆきさんに話をふる

「え?わ、私は構いませんが・・・」

「れいなら変な事しないわよね」

「れい君どこで寝る〜?」

かがみとつかさまにまでいいと言われてしまった・・・

「は〜いじゃあ決定!れいはここで寝てね〜」

そう言ってこなたはふすま側・・・簡単に言うと自分の布団の隣に布団を敷き始めた

「・・・・・」

人の意見は聞かずにこなた達はさっさと寝る支度を始めている

「・・・こなた、俺は・・・」

「いいのいいの!さ、寝るよ!」

そう言ってこなたは電気を消した

バツン

・・・いつだか似たような状況があった気がする・・・

仕方無い・・・

俺はこなたの隣に敷かれた布団に入った

「なんだか修学旅行みたいだね♪」

こなたが俺の方を向いて言う

まったく・・・
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