長編小説第一集『蒼白』


□第一章 蒼い風
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第一章 蒼い風





無音


「・・・・・朝か・・・」

俺は布団から半分身体を起こして周りを見回した

・・・気だるい

・・・・・

(今日から・・・・・学校)


俺は布団から起き上がり机の上に置いてあった資料に目を通す

・・・転校・・・

というのは・・・本当に面倒だ



「陵桜学園・・・3年B組19番・・・小手川れい」

クラスと番号、自分の名前を口に出して言う・・・学校の名前を初めて見た気がするのは気のせい

・・・という事にする



「行き方は分かるが何分位かかるのか・・・」


と、言って時計を見ると





・・・・・八時を過ぎていた





「・・・・・」


俺は転校初日から遅刻するつもりは全くなかったが、これは・・・迂闊・・・


俺が・・・寝坊・・・


馬鹿馬鹿しい・・・




・・・それからの俺の動きは久しぶりに慌てた物となった・・・

急いで身支度をし、前日作っておいた弁当を持って、俺以外いない家を飛び出した

慌ててはいけない・・・

そう・・・慌てては・・・




〜二十分後〜


・・・俺は学校に向かって走り続けていた

(現在時刻八時二十分経過・・・間に合うか?・・・俺なら間に合うはずだ)

幼い頃剣術をやっていた俺は足腰には少しばかり自信がある

・・・過信だな・・・反省



(あと500m・・・!)




その時だった・・・



俺の横を蒼い風が通り抜ける



それは俺を抜いて疾走した



(・・・・・)

呆気にとられて立ち止まってしまった

「・・・何だ?(あの青い物体・・・?・・・某音速ハリネズミ?)」

いや違う・・・あれは人だ・・・しかも陵桜学園の女子制服を着ていた

角を曲がるその後ろ姿を見て溜息をつく・・・

「疲労していたとはいえ・・・俺もまだまだか・・・?」

・・・馬鹿馬鹿しい

空しい言葉を吐いて進もうとすると、カバンが落ちているのに気が付いた

(・・・? カバン・・・3年B組 泉こなた・・・?)


・・・とりあえず拾う

「・・・同じクラス・・・・・」

何故・・・カバンが?



・・・俺は再び走り出した
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