短篇小説『蒼白』

□その教師、独身
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その教師、独身


「ハァ〜・・・」

溜息が自分の口から洩れる

なんや、ウチはこんなに湿っぽい性格して無いと思っとったんやけどなぁ・・・

高良が最後の挨拶とか言うて、全員で挨拶なんかさせるから・・・

・・・アカン・・・また涙出てきそうやわ・・・

・・・ハァ・・・

三十近うなって涙腺緩くなってきたんかな・・・

自分の身体も制御出来ん様なったらお終いかもな・・・


・・・それにしても・・・

泉達とは結局三年間の付き合いやったな〜・・・

柊姉妹は結局三年間一緒のクラスになれへんかったし・・・

偶然・・・だよな




『せんせ〜!新しい防具配信開始したらしいですよ〜!』

ネトゲ仲間にもなった泉・・・


『先生は関西出身なんですか?』

実は優しい子の柊・・・


『はぅ〜すみません〜、頑張ってはいるんですけど』

泉と並んで居眠り常習犯の柊妹・・・


『先生・・・文化祭についてのプリント、回収しておきました』

気が利いて、しっかり者の高良・・・



あの連中はホンマ、エエ奴等やったな・・・

アイツ等ともお別れか・・・淋しくなるなぁ・・・


・・・アカン・・・

また・・・


「もぉ―何やあいつら・・・バカどもがぁ〜・・・」

「おや?黒井先生 目をどうかされましたか?」

んあ!

「あっいや!これはちゃうんです・・・今突然風で目にゴミが入ってしまいまして・・・!」


・・・・・

・・・・・


「・・・あれですか・・・桜庭センセもゴミが入りましたか?」

「そんなところで・・・・・黒井先生」

「はい?」

「教師とはいいもんですな・・・」

「・・・せやな―――」




・・・自分の仕事が誇りに持てる・・・

何や・・・自分カッコエエやん・・・
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