話
□コレクター
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筆を持つ手が止まりがちになり、子供が夢想するように頬杖をつきぼんやりと窓の外を眺める時間が長くなる。
それに飽くと今度は傍らに居る私を無遠慮に注視する。
そろそろ来るな、と私は思う。
そして案の定。
「伯言は可愛いな」
「そうですか」
「うん。おっきな目も、さらさらの髪も、背が小さいとこも、全部可愛い。私は大好きだぞ」
「有難うございます」
……では、何故あの人ではなく私を愛しては下さらないのですか?
後に続く益体もない問いを飲み込み溜め息を一つ。
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