読み物
□ハカリゴト
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「殺せ、ギン。」
何故このような状況になったのかわからない。彼女を守ることを念頭に、あらゆる場面を想定し、その全てに対応できるはずだった。
こんなことは、まったく想定外だった。
いつも通り拠点の周囲を広範囲で見回った。いつも通りなんの異常もなかった。否、何もない。
崩玉の奪取、尸魂界からの逃走という大義を成し、計画も好調に進んでいる今、急務もない。互いに一息ついているところだ。
昼間であることを思わせない薄暗い廊下を通り抜け、自室に戻ろうとすると地獄蝶に阻まれた。
藍染からの呼び出しだった。
藍染の部屋の扉を開け、最初に目に入ったのはキレイな山吹色。一時も忘れることなど出来ないそれは……
(乱菊っっ!?)
ここにいるはずのない乱菊が、藍染の腕の中で虫の息をしている。
(なんで!?)
「いや〜彼女もだいぶ頑張ってたけど、私の霊圧には敵わなかったようだ。」
「なにを…してはりますの…。」
停止しそうな脳機能を必死に働かせ、それでも冷静さを保とうとしてやっと出た声だった。