読み物

□目が覚めたのは
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目が覚めたのは明け方…―

今日私はついてるらしい…。



ぼんやり目線だけを上に向けると、狐の寝顔が見えた。

たまに来たかと思えば勝手に泊まり、朝には香も残さず消えていく身勝手な狐。


とりあえず今日は目覚めた時の寂莫にさいなまれることはない。

しばらく眺めていたら狐が寝返りして背を向けてしまった。

―…あぁ残念。

ただぼーっとその背を見つめる。

わずかにはだけた真っ白な寝装束が、狐のうなじを蒼い闇にさらして。それは確かに大人になった、奴の大きな背で…。

しかし今日に限ってその背は小さく、何かに怯えているように見えた。ただ寒さに身を固めただけかもしれない。


突然抱きしめたい衝動がこみ上がって、両の腕をのばす。

外を向く狐の右肩に右手を添え、左腕全部でぴったり抱きしめる。
さらけ出されたうなじにキスを落として囁く。


「…そばにいるから…。」




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