読み物

□たった一つ
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隊主会を終え、副官と隊舎へ戻る折り、偶然君を見つけてしもた。
久しぶりに見た君は、修兵君や雛森ちゃんと楽しそうに話しててん…なんや、昔の事思い出してしまうやないの…。


「乱菊最初は笑わん子やってん。」

「?…はぁ…想像しづらいですね。」

「せやろ。今はよう笑とるさかいな。」

「…そうですね…。」
僕がそこで立ち止まったもんやから、イヅルは一礼して先に行きよったわ。…えぇけど。


…ホンマ懐かしいわ。
一緒に暮らす事になった最初の日、乱菊は自分の名前とか、僕がきいたことには答えてくれた。
せやけどほんまに表情のない子で困ったわ。

【たった一つ】


「……菊、乱菊?…お腹すいたん?」

「すいてない。」

「…ホンマに?」

「ん。」

「でもさっきからお腹鳴ってるで。」

「…///」

「ちょお待っとってや…何か探してくるで。」

「あっ、いいっ……って言ってるのに…。」

乱菊の返事を聞かずにギンは行ってしまった。

―――…

――…

―…果物くらいしかあらへんかったけど今日くらいなら何とかなるやろ


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